小学校教員を退職して1年。仕事の「向き不向き」と「自分に合う」ライフスタイル

今日で、小学校の教員を退職してちょうど1年が経ちました。 未経験からIT業界へ飛び込み、本当にあっという間の1年でした。

振り返ってみても、教員という仕事は大変な面もありましたが、それ以上にやりがいが大きく、素晴らしい職業だったと心から思っています。学校という職場や、教員という仕事を否定する気持ちは全くありません。

ただ、私には少し「向いていない部分」があった。 そして、今の環境が自分にとって「より合っていた」。 それだけなのだと思います。

この記事は、「教員を辞めようか悩んでいる人」や「1年前の自分」に向けて、この1年間のリアルな変化と気づきを書き残すものです。

【お金と休み】大きな対価を手放して得た「日々の安定」

転職して最も大きく変わったのは、待遇面です。 未経験の業界へ移ったことで、年収にして約200万円ダウンしました。特にボーナスは、教員時代の3分の1程度になっています。

また、教員特有の「夏休みに夏季休暇と有休を全部まとめてとって20連休にする」といった特大の恩恵もなくなりました。

教員時代のハードな日々は、あの給与と福利厚生、そして特大の休みがあったからこそ成立していたのだと、離れてみて改めて思います。当時はそれが当たり前だと思っていましたが、今思えば非常に理にかなった「トレードオフ(等価交換)」でした。

私は今、その大きな対価を手放しました。 その代わりに手に入れたのは、朝はゆっくりと朝食をとり、18時には退勤し、残業はあっても1時間程度という「日々の波が少ない、安定したリズム」です。夏休みの20連休はなくなりましたが、代わりに平日の好きな日に、ポツポツと私用で休みをとれる精神的な自由度を選びました。

【仕事の適性】「好き」だけでは乗り越えられなかった壁

教員という仕事は、本当に無数の出来事が同時進行します。 改めて書き出してみると、そのマルチタスクの量は圧倒的です。

子どもたちが教室にいる間:

  • 授業の進行
  • 生活指導
  • 提出物・連絡帳・宿題のチェックと管理
  • 2・3年生特有の「先生見てみて!」への対応
  • 係活動や当番活動への支援
  • 合理的な配慮を要する児童への支援
  • 自分でどんどん進められる児童への支援

子どもたちが下校した後:

  • 保護者対応
  • 2〜3つ掛け持ちしている校務分掌(係の仕事)
  • テストやノート、プリント課題の採点・チェック
  • 翌日の教材研究と授業準備
  • 学年だよりの作成

さらにここへ、学校行事や研究授業、出張などのイレギュラーな準備が重なってきます。 これらをすべてエラーなく回し続けるには、脳の「ワーキングメモリ(作業記憶)」が常にフル稼働している必要があります。

実際、処理が追いつかずタスクに抜け漏れが発生し、先輩の先生方に迷惑をかけてしまうことがたびたびありました。その度に自分の力不足に落ち込みました。先輩方は「まだ3年目なんだから、ミスして当たり前だよ」と温かくフォローしてくださいましたが、自分なりに必死に工夫して食らいついても、どうしてもこの環境に適応しきれる自信が湧いてこなかったのです。

子どもたちと過ごす時間は楽しく、仕事自体は大好きでした。だからこそ、「好きだけど、自分には向いていないのかもしれない」と認めざるを得ないことが、教員時代に感じていた一番の「しんどさ」だったのだと思います。

【生活の変化】新しく始まった自分サイズの日常

環境を変えたことで、失ったものもたくさんあります。

教員時代は仕事をしていれば毎日1万歩は歩いていましたが、今は1日1000歩もいかない日がザラにあります。太陽の光を浴びる機会も、人と話す機会も格段に減りました。休み時間にクラスの子どもたちと一緒に外遊びをする、あの尊い時間がなくなってしまったのは、今でも寂しく感じることがあります。

一方で、新しく始まった日常もあります。 実家を出て、パートナーと暮らし始めました。現在、買い物や料理などの家事全般を私が担当していますが、これは18時退勤で残業がほぼゼロの今の生活だからこそできていることです。もし教員を続けていたら、この家事分担のライフスタイルは絶対に選べなかったはずです。

「普通の生活を取り戻した」という感覚ではありません。私にとっては教員時代の生活も当たり前のものでした。そうではなく、今の自分に合った「新しいサイズの生活を作り始めた」という感覚です。

その結果、教員時代に3ヶ月に1回程度の頻度でやってきていた「体調やメンタルの波」が、この1年は驚くほど安定しています。

【今年度の目標】自分の「人的資本」を高める

退職してからの1年は、環境の変化に慣れ、新しい生活の基盤を整える「回復と適応」の期間でした。ようやく土台が固まった今、今年度は自分自身の**「人的資本の底上げ」**を目標に掲げています。

  1. 昇格、上流工程へのステップアップ 今の仕事において、設計などの上流工程に携われるようスキルを磨きます。一つのことに集中できるこの環境で、エンジニアとしての価値を追求したいです。
  2. 発信力の強化と知識の定着 ブログやXを通じて積極的にアウトプットを行います。自分の学びを言語化することで知識を深めると同時に、私の記録が誰かの役に立てば幸いです。
  3. 自己研鑽の継続(アプリ開発) 教育現場の役に立つアプリ開発を続けていきます。自分の手で形にするプロセスを楽しみながら、外側から学校現場を支援する形を模索します。

おわりに:外から見る教育現場への思い

教員という素晴らしい仕事を離れたからこそ、自分の将来や、本当にやりたいことについてじっくり考える時間ができました。

そして不思議なことに、学校の外に出た今のほうが、現場で奮闘されている先生方へのリスペクトは以前よりもさらに強くなっています。

給料が下がっても、特大の休みがなくなっても、私は「今の自分に合ったこの生活」を選んでよかったと思っています。これからは、別の場所から、自分に合ったやり方で教育や社会に関わっていきたい。

退職から1年が経った今日、この前向きな決意を胸に、また新しい1年を歩んでいきます。

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